保険外の損害額(保険に加入していれば補償できた損害額)は世界で7兆ドルを超えており、GDPの7.8%に相当する。新興国ほどプロテクションギャップは大きく、保険に対する意識の低さに加え、経済的に保険料を支払えないなどの背景がある。
EI(Embedded Insurance/組込型保険)はブランド経由で販売されるため、カスターマージャーニーにおける商品購入やサービス契約が加入の機会となり、最適なタイミングで誰もが保険を検討できる。初期のEI 1.0は商品価格にムリなく組込むために、フリーサイズ(単一の)マイクロ保険になりがちで、リスクの低い顧客は保険料が高くつき、保険を提供する側も収益化に苦戦した。
EI 2.0は購買時にこっそり加入させるのではなく、むしろ保険の存在感を強調し、高単価の自動車保険や生命保険などをパーソナライズ(選択肢の拡大やカスタマイズなど)することで価値を発揮する。顧客はフリーサイズではなく自分に最適化された保険に加入、ブランドは自社の商品やサービスを顧客が使い続けてくれることでCLTVが向上する。
今後、EI 2.0はさらに完成度を高めつつ、産業別の成功事例やブランドと顧客の認知度を上げることで、キャズムを越えることができるビジネスモデルにブラッシュアップする必要がある。GenAIの活用については、不正な保険請求の検知、顧客ニーズに対する保険商品のパーソナライズ、AIエージェントによる自動対応など、実証実験を重ねながら効果を検証していくことになる。
将来的にEI 2.0は、あらゆる企業やブランドの成長ドライバーの1つになる可能性がある。
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元データ:PowerPoint、75スライド、A4サイズ