コロナ後から実に2年以上続いたVC投資不況は、昨年のQ4より復調の兆しが見え、今年前期まで持続的な増加となっている。それと同時に投資戦略は大きく転換、コロナ渦の分散投資から厳選&高額の集中投資となり、全体として投資の粒が拡大している。
AIモデルに対する投資が一巡したことで、現在はロボティクスや自動運転車などAIの恩恵を受けるハードテックに高額な投資が集まるAIプレミアムという現象が起きている。その他、地政学リスクの影響で防衛テックやAIやEVの電力需要を受けた原子力エネルギーや量子技術などにも投資家の期待が集まる。
昨年まではAIをサービスとして提供するスタートアップが多かったが、今年の特徴としてAIを自社業務に活用した産業特化型のスタートアップが増加している。例えば従来のECでは実現できなかった「試着」をAIによるクローンで実現することを強みにするスタートアップやAIエージェントが宿泊費の最も安くなるタイミングを見計らって予約するスタートアップなど、AI活用の幅は今年さらに広がっている。
AIとは無関係というスタートアップが少なくなっており、今回深掘り調査した12社のうち半数はAIエコシステム内に存在する。例えばAIモデルを投票によって民主的に評価するスタートアップが複数確認されており、AIという経済圏の中で事業性を見出すパターンが増えている。
AIを活用しない分野では、青少年スポーツの育成やレストラン運営など、オールドエコノミーのバージョンアップに収益性を見出すスタートアップの他、高高度気球によるリモートセンシングやヘッドセットによる認知症のガンマ波治療などディープテック系のスタートアップなども投資家から将来性を高く評価されている。
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元データ:PowerPoint、93スライド、A4サイズ


