スウェーデンは民間がIDを発行するが、国民から信頼のある銀行がIDを発行することで、普及に繋がった。イギリスでは、政府が認定する民間のIDプロバイダーと国民との間の信頼関係構築も課題とされる。デジタルIDの普及に成功しているほとんどの国では民間サービスとの連携にも力を入れており、国民生活に密着したサービスの認証に活用することで、結果的にデジタルIDの利便性が増し、普及に繋がっている。
インドや中国、シンガポールなど、デジタルIDと生体情報をセットで考える国が増えており、急成長しているIDスタートアップも生体情報をAIで解析することで不正検知能力を高めている。中国ではデバイスレスによる “顔パス”の利便性と引き換えに、監視社会が強化されていることから、先進国では自己主権型アイデンティティの実装基盤としてローカルで生体認証する方向性もある。
物理的IDを無くし、完全にデジタルIDに移行するには、デジタルデバイド(高齢者、子供、貧困層)にも公平な仕組みでなくてならない。この点において生体認証は採用することが避けて通れない技術であると同時に、データブリーチの可能性をゼロに近づける暗号化やブロックチェーンなど堅牢なシステムが求められる。
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元データ:PowerPoint、55スライド、A4サイズ