1850年の世界的な産業革命以来、人類は化石燃料エネルギーで現在の社会を創り上げてきた。しかしそのツケは、我々に自然災害をもたらし、経済損失はこの50年で400兆円に達している。新たに排出するCO₂の削減(ゼロエミッション)だけでなく、すでに大気中にあるCO₂も回収(ネガティブエミッション)しなければ、温暖化による自然災害はさらに深刻化することになる。
人類は2050年を目標に現在のカーボンエコノミー(炭素排出社会)からクリーンエコノミーに転換を図ろうとしている。すでに実用化されている技術だけでは2050年までに2.8度の気温上昇は不可避とされ、COP26で採択された1.5度目標の実現には、新たなイノベーションの出現に期待する部分が大きい。この点で既に多くの民間企業が研究開発に着手、独自の技術を持つスタートアップも数多く出現している。
ネガティブエミッションの中心となる技術がCCUS(炭素を分離、回収して利用または貯留すること)で、大気中の炭素量を減らすことで気温上昇の抑制が期待されている。日本は再生可能エネルギーに加え、単価が安く安定供給が可能な石炭火力発電も併用することになるため、カーボンニュートラルの実現に向けて、CCUSの開発と普及が切り札となる。
投資家はESGや脱炭素意識の高まりで、地球温暖化による財務的なインパクトに高い関心を持っており、企業はTCFDに取り組むことが要求されている。2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、各国政府、投資家、企業の足並みはようやく揃いつつある。今後30年に渡りこの分野(再生可能エネルギー、CCUS、カーボンクレジット取引など)の新興市場は成長産業になるとみられる。
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元データ:PowerPoint、72スライド、A4サイズ