古来より人間は生きるために必要な食糧や衣服、燃料などを手に入れるために活動をしてきた。物々交換に始まり、通貨が生まれ、取引の多くはデジタルに置き換わっている。そして現在、AIエージェントの出現によって、Agentic Commerce＝ゼロクリック購買が普及しつつある。つまり買い物の究極の姿は人間が直接買わないスタイルである。
AIはなんでも人間の代わりにやってくれるが、一番のネックはお金を持っていないことだ。A16zが1年前に予想したように、AIエージェントがウォレット（財布）を持つ日常がやってこようとしている。クレジットカードブランドやペイメントスタートアップが相次いでAI向けのカードの発行に乗り出しているが、クリプトの領域でもウォレットを活用した分散型のエコシステムを構築する動きがある。
AIエージェントにも専門性が求められる時代になり、大規模なLLMとは別にSLMやRAGを利用した専門性を持ったAIエージェントが出現している。今後はこうした複数のAIエージェントが互いの専門性でネットワークを構築するマルチエージェントシステムが主流になるとみられる。
元々、分散型の管理システムであるWeb3はマルチエージェントシステムとの相性が良く、需要のあるAIエージェントが作られると、トランザクションが増え、そこで使われるネイティブトークンの価値が上がり、AIエージェントの進化に再投資される好循環が生まれる。この需要を生むのは人間だけでなく、別のAIエージェントが目標達成のため利用することもできるため、ネットワーク型のマルチエージェントシステムが自然発生し、そこにエコシステムが構築される。
Web3のビジネスモデルはICOやNFT、DeFiも含め、ブームが到来すると暗号資産のボラティリティに振り回されるという歴史を辿っている。しかしそれは価値あるビジネスモデルを見極める絶好の機会でもある。